須佐屋がある佐田町は出雲市の奥地であり、また、そこに住まう人々は、山々の恵み(と荒々しさ)を享受しながら、長い間暮らしてきました。

かく言う私こと須佐屋店主は、東京からのUターン組でありますが、義父の代から、豆腐屋と猟師業とを受け継ぎ、「山の民」としての生活を、かれこれ15年前から続けてきました。

そういう視点から見ると、この猪や鹿といった獣は、従来「害獣」としての「駆除対象」であり、基本、その後は「廃棄」せざるをえないものでした。有体に言えば「山に埋める」のです。

猟師仲間での内々の交換はあれど、それを商業システムに乗せることは叶わないことでした。それは主に衛生面によるもので、保健所の規則に達していなかったのです。

そこで私ども佐田町の猟師たちは、「山渓会」という組織を作り、保健所のガイドラインに沿った「安全・安心な食肉加工」を守ることにより、従来「害獣として廃棄」されていた猪や鹿を、商業ルートに乗せられる状態にし、「もったいないことなく」いただく……「山の恵み」に感謝していただく、ということを打ち立てました。

猪や鹿は従来「害獣」でした。それらが及ぼす被害(田畑など)は、目に余るものがあり、県レベル・市レベルで対策会議が設けられています。

しかし、猪・鹿もまた「山に宿る生命」であります。かといって完全に始末すればいいというものではありません。住み分けというものが必要です。そこで、猟師たちは一定数「駆除」をするのです。

前にも書きましたように、私どもが行っていることは、あくまで「駆除」のあとに残った獣の肉を、有効活用したい、とするだけのことであり、乱獲目的で猪・鹿を捕りにいく、というものではありません。先に述べました、山の恵みに対する「もったいない」精神……大げさに言えば、自然への畏敬の念を、山の民が、どうにか上手い形で循環させられないか、と考えたのが、ジビエプロジェクトであります。いたずらに廃棄するのではなく、それをひとつの産業にし、やがては山間地域の発展に繋がるモデル。

 

そして須佐屋では、そのプロジェクトのモデルに沿った形で、ジビエ料理(商品)の展開を行っていきたく、日々試行錯誤しています。

さて、折しも季節は春。そろそろこのブログのデザインも変更しなければなりませんが、段々暖かくなってくる今日この頃、猪の猟期が終わりました(これからは駆除期間になります)。

須佐屋では、一年を通して、冷凍保存によって猪・鹿肉のストックを保有していますが、それでも猪の「旬」の時期はもうそろそろか、といった頃あいです。

須佐屋では、冬季限定で、猪鹿(いのしか)鍋、というオリジナルな料理を提供しています。

簡単に言えば一人鍋でのしゃぶしゃぶなのですが、

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肉と野菜を出し汁にくぐらせて、ポン酢と大根おろしでいただく、というこの料理、仲間うちでは実に好評で、お客様からも「猪と鹿の二つの肉の違いが楽しめる」とお喜びいただけました。

さすがに夏には出せない代物なので(熱いですからね)、今がまさに旬の食べ物、と言えるでしょう。

こうやって、須佐屋のメニューも更新していきたく思っています。近々、メニュー(商品)ラインナップ一覧をアップします。